ある村の父子が、ショッピング・センターにやってきた。
二人は目につく物が何でも珍しく、驚いていた。
とりわけ銀ピカの壁が開いては、また滑り出してきて閉じる様にはビックリさせられた。
少年が父親に尋ねた。
「お父さん、これ何?」

エレベーターを見たことがない父親は
「こんなもの、生まれてこのかた見たことがない。分からない」と答えた。

親子があっけに取られて見ていると、
太ったお婆さんが、車椅子を転がして動く壁の前に来て、ボタンを押した。
壁が左右に開くとお婆さんは小さな部屋に入っていった。

壁が閉じると、父子は壁の上に付いている連続番号が、一から順に点滅するようすを見つめた。

ランプの数字が順番に上り、また逆に下って戻ってきた。
そしてついに壁が開き、中から着飾ったブロンドの女性が颯爽と出てきた。

父親は若い女性を見つめたまま、小声で少年に言いつけた。

「今すぐ、お母さんを呼んできなさい」(笑)

(2014/8/28)
2015/07/02(木) 05:30 笑い 記事URL COM(0)