ある暑い日、二人の男が溝掘り作業に汗を流していた。

一人の労働者がもう一人の仲間に向かって、
「俺達はかんかん照りの中で溝を作るために地面に穴を掘っているっていうのに、
 どうして親方は涼しい木の影の下に立っているだけで済むんだ?」と言った。

「わかんねぇなぁ。親方に聞いてみよっか?」
と相棒は答えると、穴から這い出して親方が立っている木陰へ歩いていった。

「ねぇ、俺達はかんかん照りの中で溝を掘っているのに、
 なんで親方はこの涼しい場所で立っていられるんですかねぇ?」

と労働者が聞くと、「知能の差だな」
と親方が答える。

「知能って、それどういう意味ですか?」と労働者が尋ねると親方は

「そうだな、わかりやすく教えてやろうか。
 俺が片手をこの木の上に置くぞ。いいか、お前は握り拳で思いっきり、
 俺の手をなぐっていいぞ。さ、やってみろ」
と言って、片手を木の幹の上に広げた。

穴掘り労働者は思い切り力をこめて、
自分の拳骨を親方の手めがけて突き出した。
その瞬間親方がヒョイと手をどけたものだから、
労働者は思いきり自分の手を木の幹にぶつけてしまった。

「これが、知能の差さ!」と親方が勝ち誇って言った。

穴掘り労働者が自分の仕事場に戻ると、相棒が聞いてきた。
「ね、親方は何て言っていたんだ?」
「俺達が地下で働いているのは知能の差があるからだってさ」と
答えると相棒は
「知能って、何のこと?」と尋ねた。

先程手を痛めた労働者が自分の顔に自分の手を当てて、
「いいから、お前のシャベルで俺の手を思い切り叩いてみな!」と言った。
2025/11/26(水) 00:58 笑い 記事URL COM(0)