世界でも指折りの科学者は、
自分の専門分野以外は何も知らない
「専門バカ」としても有名だった。
ある日彼が列車に乗って車掌が検札に来た時、
切符が見つからない事があった。
「ご心配なさらずに、ゆっくり切符を探して下さい。」
と車掌は一旦その場を離れた。
もう一度戻って来た時も、
教授は未だ切符を発見出来ていなかった。
車掌はこの男が有名な
科学者であることを知っていたので、
「あなたは間違いなく切符を買ったでしょうから、
見つからなくても結構ですよ。」
と言った。
「それはどうもご親切に」と教授は礼を述べた。
「でも切符を見つけないと私も困るんだ。
だって、どの駅で下車すればよいの分からんのだから・・・」