天国を散歩中のイエスが、一人の老人と出会った。
その老人は衰弱し、腰を曲げ、足をかばうように杖をつき、真っ白で長い髪とあごひげを揺らしながら歩いていた。
イエスは老人に声をかけた。

「ご老人。何か私に出来ることはありますか?」

老人はイエスを見上げ、震える声でこう答えた。

「長い間、わたしは愛する息子を捜し続けております」

イエスの顔は暗くなった。
それは非常に難しいことだ。
天国には、開闢以来無数の人々がやってきている。

「わたしの息子には特徴があります」

イエスの思いを察知したかのように老人は続けた。

「両手両足に、穴が開いているのです」

イエスは言葉を失い、老人をまじまじと見つめて絞り出すような声で尋ねた。

「お父さん?」

老人も、イエスを見つめてこう尋ねた。

「ピノキオ?」

「・・・」
2015/11/30(月) 04:50 笑い 記事URL COM(0)