映画監督のスティーブン・スピルバーグが
最新のスペクタクル映画「インディジョー ンズがジョーズと最接近した」制作中、
一生に一度出来るか出来ないかの大がかりなシーンを撮影しようとしていた。

このシーンはケタ外れに大がかりな人員・セット・効果音を必要とするので、
本番一回のみで撮り直しがきかないものだった。

そこでスピルバーグは撮り損ねをしないよう、すべての角度にカメラを配置した。
全員がスタンバイしてこれから始まる壮大なシーンの撮影を期待して、
撮影現場全体がシーンと静かになった。

スピルバーグは手を頭の上にかざすと、全員を集中させるため一呼吸置いてから、
大声で「アクション!」と叫んだ。

スペクタクルシーンは台本通り順調に進み、映画撮影のベテランスタッフすらも
「オーすごい!」「アーすごい!」という感嘆の声が上がるほどだった。

このシーンが終わった時は、感激して涙を流しているスタッフさえ居た。
スピルバーグはホっと満足のため息をつき、監督椅子に深々と座った。
すると彼の助手が駆け足でやってきて、
「ボス、5台のカメラのうち2台のカメラが失敗して、この撮影は無駄になりました!」
「何だと?電話を貸せ!」とスピルバーグは叫ぶと、電話機に向かって大声で怒鳴った。
「1カメラ、何がまずかったんだ?」
「ボス、済みません。フィルムを装填する前にアクションが始まってしまったんです。
 本当に申し 訳ありません」
「馬鹿野郎!2カメラ、何が起こったんだ?」
「なんてお詫びしたらいいのか、ボス。でもカメラの露出感度が間違っていました。
 撮り終わってから気づいたんですが…」

スピルバーグは電話を叩き切ると、そっと
「神様、別の三台のカメラ が撮影しているから助かりました。感謝します」、と呟いた。

その途端に先程の助手が再び叫び声をあげた。
「ボス、3カメラと4カメラも失敗です!」
「何てこった!」とスピルバーグは呻いた。
「5カメラはどうなんだ?」と、彼は祈るような気持ちで助手に尋ねた。
「現在5カメラに確認中です。あ、この電話につながりました」と助手が叫ぶと、
スピルバーグは受話器を引ったくって恐る恐る尋ねた。
「5カメラ、そっちは異常ないか?」
「はい、ボス。ミスタースピルバーグ、すべてOKです!」という声が聞こえた。
スピルバーグは安堵の涙を必死に押さえながら、
「そっちのカメラはトラブルなしだな?」と確認した。
「全く問題有りません!この高いカメラは正常そのものです」
とメカニックからの答えが返ってきた。

「神よ、感謝します」とスピルバーグが言って受話器を置こうとした時、
5カメラの男が受話器の向こう側で、
「ボス、ミスター・スピルバ ーグ?」と尋ねた。
「何だ?」と偉大な映画監督が聞くと、
「撮影はいつ始まるんですか?」という声が聞こえた。

2020/04/16(木) 05:04 笑い 記事URL COM(0)