ある男が死の床につく妻の手を握っていた。
しばらくして妻が言った。
「あなた、私・・・。
私お別れする前にどうしても貴方に言っておきたい事があるの」
夫は答えた。
「いいんだよ、もういい。
どんな事をしたにせよ、私はもう怒ってはいないよ。
何も心配することはない」
しかし妻はこう続けた。
「いいえ、あなた。わたしは長い間、この秘密を抱いて苦しんできたの。
でも、もう告白しなければならないわ。
わたし・・・わたしずっとあなたを裏切っていたの。
あなたの親友のフィルと不倫してしまったのよ。本当に、本当にごめんなさい」
すると夫は何気ない顔でこう言った。
「ああ、それは分かっていたよ。私が何故おまえに毒を盛ったと思うのかね?」