パンク・ファッションに身を固めた若者がバスに乗った。
髪はスパイク状で、緑、紫、オレンジに染められている。
着ているものは、ぼろぼろになった革のよせ集めだった。
はだしで、靴は履いていない。
顔や体には、あちこちにピアスで宝石が付けられ、
大きな、派手な色の羽をイヤリングにしていた。
彼はたった一つ空いていた席に座った。
向かいの席の老人は、長い間、ただじっと若者を見詰め続けた。
とうとう、若者はたまらなくなって、老人に向かって吠え立てた。
「オイじじい、何見てるんだよ!」
老人は、ためらうことなく答えた。
「いや・・・すまない。
まだ若くて海軍にいたとき、シンガポールでひどく酔っ払って、
オウムとやったことがある。
それで、もしや君はわたしの息子ではないかと思ってね。」